「子どもに迷惑をかけたくない」から始まった母の終活

「子どもに迷惑をかけたくない」
これは、私の母がよく言っていた言葉です。
70代を迎えた母は、私に何も知らせずに、静かにエンディングノートを書き始め、葬儀社との契約やお墓の準備までしていました。「これで安心ね」と穏やかに笑う母の姿には、私への思いやりが詰まっていたのだと思います。
でも、そのやさしさに、少しだけ切なさを感じたのも事実でした。
上伊那郡で育った私たち家族にとって、地域のつながりやお寺とのご縁、ご近所の支え合いは暮らしの中に自然と根付いています。母が一人で終活を進めたその背景には、誰にも負担をかけたくないという思いがあったのでしょう。でも、だからこそ感じたのです──終活は、ひとりではなく“家族と一緒に”向き合う時間であってほしいと。
目次
一人で進めた終活が“思わぬ迷惑”になることも…
母がしてくれた準備に、感謝の気持ちはもちろんありました。
ただ、相談の機会がなかったことで、いくつかのことで戸惑うことになったのも事実です。
たとえば、お墓の場所。実家からはかなり遠く、交通の便もよくありませんでした。「この先、誰が通えるの?」と家族の中で心配の声があがりました。上伊那のように、地域に根ざした暮らしをしてきた人にとって、お墓は“人とのつながり”を感じる場所でもあります。場所を選ぶことも、家族と話しながら決められたら、もっとよかったのかもしれません。
財産の整理も、「まとめておいたから大丈夫」と母は言っていました。でも、通帳の場所や保険のことがわからず、手続きを始めるときには家族みんなで探すことに……。
母のやさしさが、知らぬ間に“心配”に変わっていた、そんな出来事でした。
家族と一緒に考える終活の大切さ
「できるだけ迷惑をかけたくない」と、親が思ってくれる気持ちは本当にありがたいものです。
でも、終活は“全部自分でやっておくこと”ではなく、“大切な人と一緒に未来を考える時間”でもあります。
上伊那のような地域では、ご近所や親戚との関係が今も大切にされています。葬儀や仏事においても、地域の方々が自然と手伝ってくださる風土があります。だからこそ、一人で進める終活ではなく、家族で話し合い、地域とつながりながら準備することが、心の安心につながるのではないでしょうか。
終活をやさしく始めるための3つのステップ
1. タイミングを大切にする
特別な日でなくても大丈夫です。お盆や法事の集まり、家族の何気ない夕食時など、「ちょっと話しておきたいことがあるんだけど」と、優しく切り出してみてください。
2. エンディングノートは“会話のきっかけ”に
書くことが目的ではなく、「これ、見てくれる?」と家族と話すきっかけにすることで、終活はぐっと身近になります。
3. 気持ちを伝え合う
「準備してくれてありがとう」「こうして話せてうれしいよ」──そんな言葉を交わすことが、終活をやさしく、温かなものにしてくれます。
上伊那で実際にあった“すれ違い”の例
- 思い出の詰まった実家を整理したら、子どもが「もう少しだけ残しておいてほしかった」と涙した
- 自分だけで遺言書を作成してしまい、後から家族間で誤解が生じた
- 延命治療の希望をエンディングノートに書いていたが、家族はその内容を知らず、医師との判断に迷いが生じた
- 先祖代々のお寺との関係を解消したことが、親戚との間にしこりを残してしまった
どれも「よかれと思って」したことばかり。でも、家族で話していたら、もっと心が通い合ったかもしれません。
終活は「頼ること」から始めてもいい
「自分のことは自分で」そう思うのも素晴らしいことです。
でも、家族の側からすれば、頼ってくれることで「最後に一緒にいられた」と感じることも多いのです。
人生の終わりを見つめる終活は、実は“これからの家族の関係をあたためる”機会にもなります。
上伊那でも、地域包括支援センターや行政が、終活の支援を始めています。そうした場所を活用するのも、無理をせず、やさしく進める終活の第一歩になるかもしれません。

まとめ「終活 話し合い 家族」は、心をつなぐきっかけに
「子どもに迷惑をかけたくない」
その気持ちは、何よりも深いやさしさです。
でもその思いを一人で抱え込まず、家族に少しだけ頼ってみる。
それだけで、終活はもっと穏やかで、温かいものになります。
上伊那のように、人と人との関わりが日々の暮らしの中にある地域では、なおさら、そうしたやさしい終活が似合います。
大切な人と未来を見つめながら、一緒に終活を始めてみませんか?
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