固定電話じまいは“終活”の第一歩|上伊那の現状

目次
はじめに:終活で見直したい「通信インフラ」
長野県上伊那地域では、超高齢化の進行とともに、“終活”の必要性が身近なものになりつつあります。エンディングノートや財産整理と並んで、意外と見落とされがちなのが 固定電話の見直しです。
近年では、「もう使っていないけど、そのままにしている」「解約の方法がわからない」といった声も増えており、「固定電話じまい」も立派な終活の一部となっています。
固定電話の契約数、20年で4分の1以下に
かつて一家に1台は当たり前だった固定電話も、時代とともに姿を消しつつあります。
長野県全体で見ると、
- 2000年:94万件あった契約数は、
- 2024年には21.3万件まで減少しています。
これは約4分の1に激減している計算です。
上伊那地域(人口約18万人)は、長野県の約9%を占めるため、2000年当時は約8~9万回線前後の固定電話契約があったと推定されます。しかし2024年時点では1万件を切っている可能性も十分にあるのです。
若年層は“固定電話離れ”が顕著、高齢者の利用が中心に
総務省の調査によると、固定電話を持つ世帯は年齢によって大きく異なります。
| 世帯主の年代 | 固定電話の保有率 |
|---|---|
| 20代 | 約5% |
| 30代 | 約21% |
| 40代 | 約60% |
| 50代 | 約78% |
| 60代以上 | 約80~95% |
この数字からも明らかなように、固定電話はもはや高齢者インフラ。若い世代の多くはスマートフォンやLINE電話に完全移行しており、使っていない固定電話を“そのまま”にしているケースが増えています。 参考 総務省
固定電話じまいが“終活”になる理由
「固定電話をやめる=終活」と聞くと驚くかもしれませんが、実は非常に実用的で、人生の整理整頓につながります。高齢化社会の中で、通信手段の見直しは身近な“終活”の一環と言えるのです。
1. 毎月の料金の節約
固定電話の利用者が減少している一方で、基本料金は変わらずかかり続けています。例えば、NTT東日本の基本料金だけでも月1,700円前後。年間にすると約20,000円もの出費になります。ほとんど利用しないのに支払いを続けている場合、無駄な固定費となってしまいます。
携帯電話やスマホで十分という人にとっては、固定電話を解約することで家計に余裕が生まれ、その分を医療費や趣味、貯蓄に回すことが可能です。まさに「お金の終活」のひとつと言えるでしょう。
2. 認知症や詐欺被害対策に
近年、高齢者を狙った「オレオレ詐欺」や「特殊詐欺」は社会問題となっています。その多くが固定電話を通じて行われているのです。知らない番号からの着信や、不安をあおるようなメッセージが留守番電話に残るだけでも、心身に負担を与えてしまいます。
特に認知症の方は冷静な判断が難しく、被害に遭いやすい傾向があります。固定電話をなくすことは、こうした犯罪から自分を守るだけでなく、家族の安心にもつながります。終活は「命を守る活動」でもあるのです。
3. 使わない番号を相続人に残さない
終活の目的のひとつは「家族に迷惑をかけないこと」。実際に、契約者が亡くなった後、解約手続きを巡って相続人が困るケースは少なくありません。
固定電話の契約情報が古いまま放置されていると、解約のために書類を取り寄せたり、相続関係を証明するための手続きが必要になり、思わぬ時間と労力を奪われます。あらかじめ不要な固定電話を整理しておくことは、残された家族への優しさであり「事務的な終活」の一部でもあります。
このように「固定電話じまい」は単なる通信契約の解約ではなく、家計の見直し、安全の確保、相続時のトラブル防止といった複数の観点で“終活”につながります。もし「ほとんど使っていない」「携帯電話で十分」と感じているなら、今こそ固定電話を見直すタイミングかもしれません。
上伊那でも進む“通信の終活”|スマホ・見守りアプリへの切り替えも
上伊那では、高齢者の一人暮らしや見守り支援の必要性が高まっており、固定電話からスマートフォンへの移行や見守りアプリ導入が進んでいます。
- 通話だけでなく、安否確認・位置情報確認もできる
- 音声入力や拡大文字機能付きスマホなら、高齢者にも扱いやすい
- 家族が遠方に住んでいても見守りができる
このような理由から、「固定電話をやめてスマホ1本にする」という選択は、安全・安心の終活の一手ともいえるでしょう。

固定電話をやめるときの注意点
- NTTの契約内容を確認(休止にするか解約にするか)
- FAXを利用している場合は代替手段の検討
- 緊急通報手段の確保(110・119への発信はスマホでも可能)
ご本人やご家族で不安がある場合は、地元の高齢者相談窓口や地域包括支援センターに相談すると安心です。
まとめ|“固定電話じまい”はシニア世帯の賢い選択
上伊那地域における高齢者世帯では、まだ多くの方が固定電話を使い続けていますが、本当に必要かどうか一度見直すことが大切です。
「もう使っていないけど残してある」
「何となく不安で解約できない」
こうした声に耳を傾けながら、通信の見直しも終活の一環として進めることが、家族にとっても大きな安心になります。


