自分史の書き方ガイド|今日から始める人生整理術

自分史を書く高齢者

はじめに|自分史が注目される背景

「自分史」とは、自らの人生を振り返り、出来事や想いを記録するものです。近年では終活の一環として注目されており、自分自身の「生きた証」を残す手段として、多くの人に選ばれています。

自分史を作成することで、これまでの人生を整理し、自分が大切にしてきた価値観を再確認できます。また、家族や子ども、孫世代に伝えたい思いを言葉にすることで、家族との対話や感謝の気持ちを形にできるのも大きな魅力です。

自分史を書くメリットとは?

  • 自己理解が深まり、心の整理につながる
  • 家族への想いを伝える手段になる
  • 介護や看取りの場面で「その人らしさ」が伝わる
  • エンディングノートと組み合わせることで、実務と感情の両面を網羅できる
  • 思い出を可視化することで、生きがいや自信を再認識できる

初心者向け|自分史の書き方5ステップ

自分史とは、単に思い出を並べるだけのものではなく、「自分自身を改めて知るきっかけ」でもあります。人生を一冊の本にまとめるような感覚で、自分の足跡をたどる作業は、過去を整理し未来を考える上でも大変有意義です。さらに、自分史は家族や子ども、孫にとって、あなたの生き方を知る貴重な記録となります。ここでは、初心者でも安心して取り組める5つのステップをご紹介します。

ステップ1:テーマを決める

まずは「自分史の軸」となるテーマを決めましょう。家族への思い、仕事での挑戦、趣味の歩み、人生の転機など、自分が一番伝えたいことをテーマに据えると書きやすくなります。

例えば「旅の思い出」をテーマにすると、訪れた土地ごとのエピソードが自然と浮かんできます。テーマを持つことで、自分史は単なる記録ではなく「物語」としての色合いを帯びます。

ステップ2:時系列に整理する

人生を振り返るときは、時間の流れに沿って整理するのが基本です。幼少期、学生時代、社会人生活、そして現在という大きな流れを区切りにして、それぞれの時代に印象深い出来事を書き出しましょう。

年表のようにまとめると、思い出の点と点がつながり、まるで自分だけの「人生年鑑」が出来上がります。

ステップ3:写真や思い出の品を活用する

写真やアルバム、手紙や日記といった思い出の品は、記憶を呼び起こす大切な手がかりです。一枚の写真を眺めるだけで、当時の風景や人の声までよみがえることがあります。

「このときはどんな気持ちだったか」「誰と一緒だったか」と思い返すことで、文章に温かみや臨場感が加わります。自分史に写真を挿入するのも良い工夫です。

ステップ4:感情や学びを添える

出来事を羅列するだけでは、自分史は淡々とした記録になってしまいます。

そこに「嬉しかった」「悔しかった」「支えられて乗り越えた」など、自分の感情を添えると読み手に共感を呼びます。また、経験から得た教訓や学びを書き添えると、あなたの人生に重みが加わり、家族にとっても人生のヒントになります。

ステップ5:誰に読んでもらうかを意識する

自分史は「誰かに伝える」ことを意識すると、文章に方向性が生まれます。孫に向けて書くならわかりやすい言葉で、同世代に向けてなら共通する時代背景を交えると、より心に響きます。

また、誰かを思い浮かべながら書くことで、文章は自然と優しさや温かさを帯びます。まるで手紙を書くように、一人の読み手を想定するのがおすすめです。


自分史は、過去を整理するだけでなく、自分の存在を「言葉で残す」大切な作業です。ありのままの自分を表現し、心を込めて綴ることが、オリジナルで唯一無二の自分史を生み出します。

入学式のモノクロ写真(子供と車)

自分史の構成例3選|自分に合ったスタイルを選ぼう

自分史を書くときに悩むのが「どんな形でまとめるか」という点です。実は自分史には決まった形式がなく、自分に合ったスタイルを選んで良いのです。ここでは、初心者でも取り組みやすく、それぞれに特徴がある3つの構成例をご紹介します。

1. 年表形式(シンプル自分史)

もっとも基本的で取り組みやすいのが年表形式です。西暦や年齢を軸に、主な出来事を時系列で並べていきます。

たとえば「1970年 小学校入学」「1985年 結婚」「2000年 定年退職」といったように、大きな出来事を簡潔に記録します。全体像を把握しやすいため、初めて自分史に挑戦する方や、まずは下書きの段階で全体を整理したい方におすすめです。この形式をベースに、後から文章やエピソードを追加していくと、自然にボリュームが増していきます。

2. 写真+コメント形式(フォト自分史)

アルバム感覚で仕上げられるのが「写真+コメント形式」です。写真を1枚ずつ並べて、その下に短いコメントやエピソードを書き添えるだけで、視覚的にもわかりやすく、楽しい自分史になります。

たとえば、入学式の写真に『ランドセルが大きすぎて歩きにくかった』など、ちょっとした思い出を添えると読み手の心を和ませます。家族や孫と一緒に見返すのにも向いており、アルバムの延長として気軽に作れるのが魅力です。また、パソコンやスマホで写真を整理しながら作ると、デジタルアルバムとして残すこともできます。

3. 手紙形式(メッセージ自分史)

自分史を「未来へのメッセージ」として残したい方におすすめなのが、手紙形式です。子どもや孫に向けて、あるいは未来の自分に宛てて手紙を書くように構成します。

「あの頃はこんな気持ちだった」「これからはこんな人生を歩んでほしい」と、感情や想いをダイレクトに伝えられるのが特徴になります。特に終活の一環として取り組む場合には、この形式を選ぶことで、人生の教訓や感謝の気持ちを温かく届けられます。読み手にとっては「自分に向けられた言葉」として心に残りやすく、大切な記念品となるでしょう。


自分史のスタイルに正解はありません。シンプルに出来事を並べたい人もいれば、写真を中心にまとめたい人、想いを文章で残したい人もいます。大切なのは「自分らしく表現できるかどうか」です。自分に合った方法を選び、楽しみながら自分史づくりに挑戦してみましょう。

エンディングノートとの違いと使い分け

自分史「これまでの人生の記録」、エンディングノートは「これからの備えと希望」を記すものです。

自分史では、想いや背景、人生の出来事など感情面を中心に書きます。一方、エンディングノートは医療や葬儀の希望、財産情報など実務的な内容が中心です。両方を活用することで、心と情報の両面から自分を伝えることができます。

エンディングノートとは?

エンディングノートのお墓に関するページ

テンプレート・振り返りシートの活用法

初めて自分史を書く方にはテンプレートの活用がおすすめです。当サイトでは、「人生振り返りシート」「バケットリスト」など、自分史作成をスムーズに進めるための無料資料をご用意しています。

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家族と共有する自分史|対話を生む終活ツール

家族と共有する自分史

自分史を書き終えたら、それを自分だけの記録にとどめず、ぜひ家族と共有してみましょう。家族に見せることで「そうだったのか」と新しい発見があったり、共通の思い出を振り返って自然に会話が弾んだりします。

また、普段はなかなか話題に出ない幼少期の出来事や、若い頃の挑戦、両親や祖父母への想いなどが語られることで、家族の理解が一層深まります。

特に、自分史をきっかけに「親から子へ」「祖父母から孫へ」と思い出を伝えることで、世代を超えたつながりが生まれます。

たとえば、昔の仕事の苦労話を子どもに伝えれば、努力や忍耐の価値を学ぶ機会になります趣味のエピソードを孫に話せば、共通の関心事として新しいコミュニケーションが広がります。自分史は家族の会話を豊かにし、笑顔の時間を増やす大切なきっかけとなるのです。

さらに、介護や看取りの場面においても、自分史は大きな役割を果たします。本人が大切にしてきた価値観や人生の歩みが書かれていることで、ご家族や介護スタッフが「その人らしさ」を理解しやすくなります。どのようなことに喜びを感じ、何を大切にしてきたのかを知ることは、介護や支援の質を高める大切な情報になります。医療や介護の現場では、単なる生活支援を超えて「その人らしい生き方」を尊重することが求められますが、自分史はその実践に役立つ心強い資料になるのです。

対話を生む終活ツール

このように、自分史は単なる思い出の記録でありません。家族の絆を強める「心をつなぐツール」としての価値を持っています。そして、書き手にとっては人生を振り返る整理の時間となり、読み手にとっては大切な人の物語を知る喜びとなります。ぜひ完成した自分史を家族と分かち合い、対話を通じて新たなつながりを育んでいきましょう。

まとめ|自分史は“生きた証”を未来につなぐ終活の第一歩

自分史は、自分の人生を振り返り、未来の家族へ想いをつなぐ「心の終活」です。形式にこだわらず、少しずつ書き進めることが大切です。

人生の棚卸しを通じて、あなただけのストーリーを紡いでみませんか?

よくある質問(FAQ)

Q. 自分史にはどれくらいの分量を書けば良いですか?
A. 明確な決まりはありません。1〜2ページの短編でも、10ページ以上のボリュームでも構いません。ご自身のペースで無理なく続けることが大切です。

Q. 他人に見せたくない場合はどうすれば良いですか?
A. ご自身だけの記録として保管するのもOKです。非公開のまま心の整理に使う方もいます。共有するかどうかは後で決めても問題ありません。

Q. 自分史を書くのにどのくらい時間がかかりますか?
A. 人によりますが、1テーマあたり30分〜1時間ほどが目安です。毎日少しずつ書くことで負担なく続けられます。

Q. 文章に自信がないのですが大丈夫でしょうか?
A. 大丈夫です。箇条書きやメモ程度でも十分意味があります。「きれいに書くこと」より「想いを残すこと」が大切です。

この記事の著者

一般社団法人あいえんロゴ
一般社団法人あいえん
長野県上伊那郡を中心に、終活・身元保証・葬送支援を行っています。
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