介護保険とは違うの?「総合事業」ってなに?

総合事業

「総合事業って聞いたことあるけど、介護保険とどう違うの?」

高齢のご家族を介護している方や、これから介護について考えたいという方にとって、気になる疑問のひとつではないでしょうか。

この記事では、「介護保険と総合事業の違い」「総合事業の内容」について、より詳しくわかりやすく解説します。


■ 総合事業とは?

正式名称は「介護予防・日常生活支援総合事業」。2015年の介護保険制度の見直しによって導入されました。

総合事業は、主に「要支援1・2」と認定された高齢者。または介護予備軍とも言える高齢者を対象にした支援サービスで、

できるだけ介護が必要な状態になる前に、自立した生活を続けられるよう支援すること

を目的としています。


■ 介護保険との関係性

介護保険制度は、要介護状態になった高齢者が必要な介護サービスを受けるための仕組みです。

その一方で、総合事業は介護保険制度のなかに組み込まれてはいるものの、

より地域の実情に応じて柔軟に支援を行う「予防重視」のしくみ

として設計されています。

以前は、要支援1・2の人も全国一律の介護保険サービス(訪問介護・通所介護)を利用していました。

しかし、制度改正により、それらのサービスが市区町村の判断で運営される「総合事業」へと移行しました。

そのため、「介護保険とは別物」と感じるかもしれません。ですが、実際には介護保険の一部として機能しているのです。


■ なぜ総合事業が必要になったのか?

日本は急速な高齢化社会に直面しており、介護保険の利用者も年々増加しています。

その結果、財政的な負担が増え、「軽度の支援が必要な人には、もっと効率的で地域に根ざしたサービスを提供しよう」という考えから、総合事業が誕生しました。

これにより、介護の専門職だけでなく、地域のNPO法人、ボランティア、民間企業など、さまざまな担い手がサービス提供に関わることが可能になりました。


■ 総合事業の対象者は?

総合事業の対象になるのは、以下の2つのカテゴリーの高齢者です。

  • 要支援1・2に認定された人:介護保険の認定審査で「要支援」とされた方
  • 基本チェックリストで支援が必要と判断された人(事業対象者)介護保険の認定を受けていないが、生活に不安が見られる高齢者

この「事業対象者」という新しい枠組みも、総合事業ならではの特徴です。


■ 総合事業で提供される主なサービス

● 訪問型サービス

いわゆる「訪問介護」に相当するサービスです。買い物、掃除、洗濯などの日常生活支援が中心で、身体介護は含まれません。

介護福祉士などの有資格者によるサービスに加え、研修を受けた地域のボランティアやNPO法人などが担い手になることもあります。

● 通所型サービス

通所施設(デイサービス)での体操やレクリエーション、入浴、食事などを通じて、身体機能や生活能力の維持・向上を図ります。

介護保険サービスのデイサービスとは異なります。簡易なプログラムや短時間のサービスも可能で、運営主体も多様です。

● 一般介護予防事業

こちらは認定を受けていない高齢者も対象です。例えば、地域の体操教室や認知症予防教室、ふれあいサロンなどがあります。健康維持と社会参加を促進する取り組みが行われます。

参加費が無料〜低額であることも多く、気軽に参加しやすいのが魅力です。


■ 総合事業の特徴とメリット

特徴内容
地域主体市区町村がサービス内容や提供方法を決定できる柔軟な制度
多様な担い手民間事業者、NPO、住民ボランティアなどが参画可能
自立支援重視本人の「できる力」を引き出し、要介護化を防ぐ支援が中心
コスト抑制限られた介護保険財源の中で、効率的なサービス提供が可能

■ 総合事業は「介護の入り口」

介護が必要になったとき、いきなりヘルパーさんが来て、手厚い介護が始まるわけではありません。

むしろ、

「まだそこまでの介護は必要ないけれど、ちょっと不安」

という段階で受けられるのが、総合事業による支援なのです。

これはいわば「介護の入り口」として、介護保険制度の手前で高齢者を支える大切なステップです。


■ まとめ:総合事業は介護保険の“身近なかたち”

「総合事業」は、介護保険制度の一部として、要支援の方や高齢者の生活を支えるための柔軟な仕組みです。

介護保険と別物のように思われがちです。しかし実際には介護保険の枠内で実施される地域密着型の支援として設計されています。

これからの時代、介護を必要とする人を減らし、地域で支える体制を整えていくためにも、総合事業の役割はますます重要になっていくでしょう。

もしご家族やご自身の将来に不安を感じているなら、まずはお住まいの自治体に相談し、総合事業について情報を得ることをおすすめします。

「介護のはじまり」は、案外こうした身近な一歩から始まるのかもしれません。

入門介護予防ケアマネジメント 新しい総合事業対応版 [ 総合事業・介護予防ケアマネジメント研究会 ]

価格:2420円
(2025/3/22 15:41時点)
感想(0件)

入門介護予防ケアマネジメント 新しい総合事業対応版

上伊那(伊那市、辰野町、箕輪町、南箕輪村、駒ヶ根市、宮田村、飯島町、中川村)のエリアで終活等シニアサポートを行っています。

フォローしてね!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です