介護の現場で学んだ「受容・傾聴・共感」の大切さ

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介護現場

こんにちは、私は介護の仕事に十数年携わっていました。日々の介護の現場で痛感したのは、「受容・傾聴・共感」がいかに大切かということ。これらができて初めて、本当の意味で利用者さんの心に寄り添うことができるのだと実感しています。今日は、エピソードを交えて、この3つの大切さをお話ししたいと思います。


1. 受容──その人の「今」を認めること

私がまだ介護職を始めたばかりの頃、認知症の女性利用者Aさんと関わる機会がありました。Aさんは毎日のように、「家に帰らなきゃ。家族が待ってるの」と言い続けていました。

当時の私は、「ここがAさんの家みたいなものですよ」と説明したり、「今はもう夜だから、明日ね」となだめたりしていました。しかし、Aさんの不安は消えず、むしろ強まるばかり。

そんな時、先輩の介護士が私にこう言いました。
「Aさんの"今の気持ち"を受け止めることが大切だよ」

その言葉を受けて、私は次からAさんにこう返しました。
「そうですね、お家に帰りたいですよね。どんなお家でしたか?」

するとAさんは、昔住んでいた家のこと、子どもたちのことを嬉しそうに話してくれました。不安な気持ちを否定せず、「帰りたい気持ち」をそのまま受け入れたことで、Aさんの表情は和らぎました。

介護の現場では、正論よりも「受け止めること」が大切 なのだと、この経験から学びました。


2. 傾聴──心の奥の声に耳を傾ける

ある日、90歳の男性利用者Bさんがぽつりと「もう長く生きすぎたな」とつぶやきました。私はどう返していいか分からず、「そんなこと言わないでください」と言いかけましたが、すんでのところで踏みとどまりました。

代わりに、「そう思うんですね。どうしてそう感じるんですか?」と尋ねました。

するとBさんは、兄弟を亡くされたことや、妻を看取った後の寂しさを語ってくれました。私はただ頷きながら、Bさんの話に耳を傾けました。

話し終えた後、Bさんは少し微笑みながら「いろいろあったな。」と言いました。

人は「答え」を求めているのではなく、「話を聞いてほしい」ことが多い。 それを改めて感じた瞬間でした。


3. 共感──心に寄り添うことで生まれる安心感

ある認知症の利用者Cさんは、毎日のように「娘が迎えに来るから、ここで待つの」と玄関で座っていました。スタッフが何を言っても動かず、食事の時間になっても席につこうとしません。

そこで私はCさんの横に座り、「お嬢さん、大事な方なんですね」と声をかけました。Cさんは嬉しそうに娘さんの話を始め、「いつも私を大事にしてくれたの」と涙を浮かべました。

私は「素敵なお嬢さんですね。きっとCさんをとても愛しているんですね」と共感を示しました。するとCさんは少し落ち着き、「ご飯を食べたら、また待とうかな」と食事に向かう気になったのです。

共感することで、利用者さんは「理解してもらえた」と安心し、心が和らぎます。


まとめ──介護の本質は「心に寄り添うこと」

介護の仕事は、身体的なケアだけでなく、心のケアが何よりも大切 です。

  • 受容 = 相手の気持ちを否定せず、そのまま受け入れる
  • 傾聴 = ただ話を聞き、心の声に耳を傾ける
  • 共感 = 相手の気持ちに寄り添い、理解する

この3つを意識することで、利用者さんとのラポール(信頼関係)が深まり、「安心できる場所」を提供できるのだと思います。

介護は大変な仕事ですが、こうした小さな積み重ねが、利用者さんの笑顔につながります。そして、その笑顔が私たち介護士にとって、何よりの励みになるのです。

これからも、「心を大切にする仕事」 を続けていきたいと思います。

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